チープに輝いて

100均フリーダム

100均フリーダム

 天邪鬼な性格だからなのか、生来、ハイクオリティなもの、誰もが認め賛美するものにはあまり心を動かされない。たとえば傷ひとつない見事な光沢を放つ青磁の壷、よりかは、校庭のすみっこに埋まってた出自不明の茶碗の欠片、のほうが、ぐっとくるものがある。割れ、欠け、ヒビ、手抜き、無駄な意匠、そういうものにこそ価値を見いだせる人のために書かれたであろう一冊。お高くとまったセレブリティ美術に一石を投じる解放の書。ごめんなさい言い過ぎた。でも、「猿寿司」と「亀アヒル」にいたっては最早オーパーツといっても過言ではないと思う。
 ところで不思議なのは、そんじょそこらの人には負けない結構な頻度で100均に通っている自信がある僕が、ここに載っている品々を未だかつて1個も見たことがないという事実。井の中の蛙だったのか。この世界はそんなにも広く深いのか。精進します。