鬱屈した10代の総決算

サンチャゴ 「中学生ぼっち」
作・演出:吉田海輝

@阿佐ヶ谷シアターシャイン

 劇場に入って舞台セットを見た瞬間「あ、やられた」と思う。美術が豪華とか細部まで造りこまれてるとか、突拍子もないものが置かれているとかいうことではなく、ただ単純に、そうきたかという驚き。それ立てちゃうか、舞台の真ん中に、という。中学校の話だということで、教室とか部室とか校庭とか、いろいろ予想していた舞台設定を爽やかに裏切られた感じ。
 さんざんくすぐって空気がゆるみきったところへ突然冷水を浴びせて引き締める、そんな血行促進的な展開の匙加減は今回もきれいに決まっていたのだけど、途中、朝礼中にふざけあう中学生の精密に再現されたバカさ加減のリアリティ(『こんなやついたよなあ』もしくは『俺こんなことされてたよなあ』)に対し、完全に笑いが止まらなくなってしまい困る。もう舞台上は次のシーンに移っているというのに、客席でひとり延々肩を揺らし続ける僕。あれはなんか恥ずかしかった。