日々の泡、夢の滓

浮世企画 「あぶく」
作・演出:今城文恵

荻窪アール・コリン

 関東小劇場界の名軍師にしてカリスマ演出助手、満を持しての旗揚げ公演。数多の現場をかいくぐってきた人なだけに、否応なしに期待はうず高く積もる。
 メタリック農家、クロムモリブデン、柿喰う客、表現・さわやか...と演出助手で参加してきた団体名を並べてみたとして、そのどれにも似つかない引きずられない影響されてない不動のオリジナリティに第一の衝撃。
 美大生ならではのビジュアル&サウンドセンスと家呑み苦学生のグダグダ会話劇をミックスして送る、のかと思いきや途中でそのすべてを脱ぎ捨てて微妙な対人関係のパワーバランスだけで見せ切る俳優勝負に切り替わったのが第二の衝撃。
 ああ、あと主宰*1が『黙っていれば美人なのに思考回路はおっさん』という事実が脚本の端々から溢れ出てたのが第三の衝撃。
 それにしても、佐山君は学生時代の俺か?

*1:演出家権限でいくらでも配役を選べたし作家権限でいくらでも簡単な台詞が書けたはずなのに、なぜか自分で自分の役の滑舌に罰ゲームのような負荷を与えていたあの人、あの人が主宰です。