命名問題を考える

 小道具を買い、領収書をもらうとき、いつも宛名で困るという話。
 べつにその名前がダメだって話ではなくて、やはり劇団とかバンドとかっていう団体は個性、インパクトが大事だと思うのです。だから一風変わった名前をつけようとする気持ちはよくわかるし、僕だって知らない劇団を見に行くときは大抵、名前が気になってというケースが多い。でも、そんな事情をお店の人はわかってくれないことが多い。
 僕のいるベターポーヅなんかはまだ相当わかりやすいほうだと思うのですが、それでも口頭で名前を伝えると当たり前に「ベターポーズ」と書かれてしまう。「ヅ」の部分に憧れて入団を決意した僕としては、この表記は許せません。そんな折、僕はいつも訂正するために言わなきゃならんのです、「あ、ツに点々です」と。これがもう、とても間の抜けた台詞なのです。皆さんも一度、声に出して言ってみるといいと思います。
 「つにてんてん」
 虎視眈々、に少し似てますが、そんな格好よさは微塵もない。そこにはただ間抜けな感触があるだけです。しかし、言ってる本人は真面目です、必死です。つにてんてんじゃなければ違う団体名になってしまう。この瞬間、僕はマジメとマヌケの隙間に落っこちたような、くすぐったいような恥ずかしいような、なんともいえない気分になります。あと「まずカタカナでシベリアって書いて、で、少年少女の少女に、鉄道、鉄の道、えーと、あの、トレインの」とかも相当、なにを説明してるんだ俺は、みたいな気分になったものでした。
 さすがに最近は劇団名を書いた紙片をあらかじめ用意し、レジで提示するという手法を取っていますが、みんなどうしているんだろう。やっぱり毎回つにてんてんとか言ってるのか。素朴な疑問。