故郷にて/初心の所信/リスタート

 いろんなことがありました。
 夜行バスに乗って梅田に着いたその足で、OMS(扇町ミュージアムスクエア)跡地を見にゆく。ここがなかったら僕は演劇なんか見ることも、ましてや参加することも絶対になかったであろう、いわば僕にとって第二の誕生地。OMSが取り壊しになるというニュースを「ああ、つまり大阪で演劇やるのは不可能なのね」と曲解してしまったことが僕の上京理由の7割くらいを占める、そんな建物。今は眼科や歯科や薬局がテナントとして並ぶ、医療専門ビルに姿を変えていました。…まあ、わかっていたことだけれど、とにかくこの目で確かめたかったのです。
 旧友たちとの再会。彼らはそれぞれ、シアタートップスが4つくらい入りそうなバカでかい市民ホールで「ウエストサイド・ストーリー」演出補佐を立派に務めていたり、大学院で隕石の研究をしていたり、流行最先端・ニのつく自由業になってたり、じつに様々。家に帰れば、いつのまにかニンテンドーDSを購入している脳年齢25歳(同い年!)の母と、毎晩眠る前に自分の前足を執拗に手入れする(そこだけ毛並みが変色している)潔癖症気味の飼い犬。
 そして坐骨神経痛で入院している父を見舞いに行く。いままで72歳とは思えない活発さを見せてきた父ですが、入院してみると急激に年相応に見えるので、それが寂しくはありましたが。談話室でぽつぽつと話をして、これまでのこと、今後のことなどを報告。改めて「それにしても、なぜ急に演劇だったのか?」的なことを言われたんですが、それには自分でも答えられないのです。気がつけばそこに向かっていた、という感じ。とりあえず今後も「その場で足踏み」だけはしないように行きたいな、と。
 2006年はじめての買い物はマスキングテープでした。本年もよろしくお願いします。