完遂

 小指侍『ロイヤルなハニー』、ご来場いただいた方々ありがとうございました。
 昼夜公演間の休息時間が実質わずか6分しかなかった初日。物語とリンクするかのような大雪に見舞われた中日。劇場へと続く凍結した相生坂を決死の思いで滑り降り、過労と風邪でダウン寸前になりながら乗りきった楽日。
 終始トラブルゼロの現場なんてものにも出くわしたことはありませんが、これだけ立て続けに色々な困難が立ちふさがる現場もまたレアなケース。たった三日間の出来事なのにその濃密さたるや、二週間近いロングラン公演を終えたときのような感覚です。面白くなるという予感がなければ、まず間違いなく途中で投げ出していたことでしょう。今年最初の仕事、いい経験させてもらいました。
 あの舞台が成島氏の望んだイメージにどこまで近付くことができたのか。それは作演のみぞ知るといったところではありますが、少なくとも自分にとっては惜しみなく全力を賭けるにふさわしい作品でした。ラストシーンの稽古には何度見ても涙腺をぐいぐい押され、いざ目の前に実体化した舞台美術プランには自分がスタッフの一人であることも忘れて絶景に酔った日々。ここから始まる2006年は僕にとってどうなることやら。腹一杯楽しみたいものです。