アットホームきわまりない

浅井真理子 個展
『食堂のなかで録音係と犬の調教師が向かい合って珈琲を飲んでいるのがみえた』

@目白ブックギャラリー・ポポタム

 気になるタイトルに引き寄せられるままに、浅井真理子氏についてロクに知りもしないままに行ってみると、お客は僕ひとり。そのためか、普通はエンドレスで流しっぱなしになってる映像作品をわざわざ巻き戻して観せてもらえたり、椅子をすすめられたりとVIP待遇でした。
 ブックギャラリーというだけあって、雑貨や雑誌・児童書なんかが並ぶ店舗の奥に進めば、こじんまりとした部屋の壁に大小ふたつの映像。本棚の合間にもモニタが仕込んであって、そこにも映像。あとは店内に設置されたテレビに、誰かのライブ映像。行ったのが開催初日のしかも開店直後だったので、もしかしたら実際はもっと色々あるのかもしれません。
 会場であるポポタム自体は、あくまでも通常営業なんだそうです。普段のポポタムの営業形態を知らない僕には、実はどこからどこまでが浅井真理子作品なのか分からなかったりもするんですが、プロジェクタのリモコン操作に戸惑う店員さんとか、横に置いてあるスヌーピーの本を動かすと接触不良で映らなくなるモニタとか、なんかそういう余所だとイライラしそうな要素も、客が自分だけという共犯者意識のせいか妙に微笑ましく、むしろ開店準備を一緒に手伝ってるような気分に。店内の雰囲気は近年まれに見るリラックス空間でした。