余白が怖い

アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

アトモスフィア (2) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)

 本人も認めているとおり「シベリア少女鉄道西島大介的解釈」には違いないんですが、こんなメチャクチャな、どっからどう見てもギャグでしかないオチなのに、それでもまだ爆笑した一瞬後にゾクッとするような不安がやってくるのは、これまで描いてきた作風のせいなのか、それともこの画風のせいなのか、それともこんなふうに感じたのは僕だけなのでしょうか。やたら白さの目立つページが「背景を手抜きして描かなかった」のではなくて「背景には最初から何もなかった」のかもしれないと考えた瞬間に襲ってくる得体の知れない恐怖。そういう意味では実はすごく正統派のSFホラー(サイエンス要素ゼロだけど)かもしれない、とか思ったりしてみる。
 ただ、「止まらなくなっちゃって」のときのあの顔にだけは文句のつけようがないほど笑った。