完全合法アシッド演劇

少年王者舘「I KILL(イキル)」
作・演出:天野天街

@下北沢ザ・スズナリ

 本番まで一週間を切ると、余所様の芝居は忙しくてなかなか見にいけないのですが、今回は幸か不幸か小道具も少なく、準備も好調に進んでいたので出かける。とはいえ、たとえ小道具多くて準備できてなかったとしても、僕は多少の罪悪感と焦燥感を引き換えにチケットを買っていたでしょう。だって見たかったんだもの、これは。こればっかりは。
 いつもの、時間感覚が麻痺するような無限ループこそなかったものの、☆之さんという役者の演技にただならぬ何かを見てしまう。前作「こくう物語」でも感じたのだけど、徹底的に隅々まで染めあげられた天街ワールドの中、そこだけ塗り残したかのように明らかに異質で自由。「どこでもないどこか」な世界観の中で、与えられた役柄はタモリ。異質すぎる。しかもアロハシャツ着用に赤いプラスチックフレームのオシャレメガネと、似せようという歩み寄りゼロ。妥協しないタモリ。自由すぎる。
 もうひとつ、僕は見てしまったのです「引き出しミラクル」。ああいう物理的にありえない仕掛けを目の前で堂々と見せられると平伏してしまいます。