主観的うそっぱちと客観的リアリティ

 ちょっとだけ昔、先週くらいに、とても発色のいい銀色の塗料があるとの噂を聞きつけ、誰からの発注でもなくスチレンボードで包丁を試作してみたりしていたのですが、そのことをすっかり忘れていた今日、本棚の隙間から突然包丁(もちろん、スチレンボード製の)が落ちてきて心臓が止まるほど驚く。いや、もしかしたら2秒くらい止まったかもしれない。
 作った直後には「ああ、発色いいって言ってもこの程度か」とか思ってそのまま放置してた(だからといってなぜ本棚にしまったのかはミステリー)のですが、改めて見ると凄いかもしれない、これ。何日か経って塗料が完全に定着したせいもあるだろうけど、ほんとに発色が半端じゃなく良い。一瞬とはいえ本物にしか見えなかったもの。実物と並べたりすると一発でニセモノだと分かるような色味なのだけど、これ単独で見る限り、完全に鉄。
 小道具の出来不出来とか、塗りが甘いとか、実はここらへん手抜きしましたとか、そういった情報ってのは作った本人が一番よく知っているわけで、当然ながら小道具を見るときもそういう欠点にばかり目が行ってしまいがちだったのですが、こうして作ったことさえ忘れてた状態で、ある意味初めて「客観的に」自作の小道具を眺める貴重な経験をする。リアルとリアリティは違うという発見。意外と捨てたもんじゃないかもな俺、とか。でも僕は捨てたもんじゃないと自覚した瞬間から右肩上がりに思い上がり始めてしまうので、適当なところで捨てたり拾ったり。そのへんのさじ加減は自分が一番よく知っている。