雰囲気をもてあそぶ

 仕事終わり、渋谷に移動して『パビリオン山椒魚』鑑賞。
 異様に気持ち悪い会話のテンポだとか、肝心のオオサンショウウオが作り物感まるだしだったり、なんかおかしいぞと思いながら見ていると中盤にさしかかり、いきなり山賊のだれそれがどうのとかいう、あらぬことばが飛び出して以降、俄然面白くなる。というより、それまでの「笑うところなのかどうか」と思っていた部分すべてに「笑ってもいいんだ」のゴーサインが出て、結果、全体にデタラメな亀裂が走りはじめる。で、不思議なことにデタラメを一旦受け入れさえすれば、どんどんストーリーは追いかけやすく、生き生きした感じになっていき、ダンボール箱を頭から被ったオダギリジョーが路上で靴下を履く、という、この文章だけじゃ意味が分からない(見ても分からない)シーンでピークをむかえる。最終的には何がなんだか、SFなのか夢オチなのか、知るかそんなもん自分で考えろ、とでも言いたげに終わるのだけど、まあ、見た人が何を言おうが笑っちゃった時点で負けですよね、って話。