猛進する猪突

開幕ペナントレース 「東京ラヴストーリー」
構成・演出:村井雄

@板橋アトリエSENTIO

 それがどんな顔なのか見当もつかないけれど、しれっとした顔で展開するコントオムニバスの演劇風・ダンスパフォーマンス添え…そんな料理。「何がしたいのか分からない」というよりは「何がしたいのかなんて絶対に分からせてやるものか」的な、確信犯のにおいを感じたりもする。
 旗揚げ公演でしか出せない味わいというのが、いわゆる『よく出来てるかどうか』みたいなこととは無縁の価値基準があるとしたら、
 第2回公演以降は「慣れ」とか「前回の反省」が塗り重ねられて、洗練されたり見映えよくなったり、それはそれで大変結構なことですが、それと引き換えに徐々に削られてゆく何かがあるとしたら、
 たぶん『それ』だけで作られた舞台、だったような気がするのです。山手線に乗るひとたちを尻目に中央線で新宿〜東京間を突き抜けるような、最短距離の疾走感。このまま第2回以降も失速せずに行ってほしいと切に願います。