蹉跌が鳴ってる。

THE SHAMPOO HAT津田沼
作・演出:赤堀雅秋

@下北沢ザ・スズナリ

 ラッシュ慣れした体にはひさびさの感じさえする観劇でした。
 パンフレットに書かれた『シモキタでツダヌマ』するに至るまでの劇団十年史。その始点にあたるエピソードの、目に浮かぶようなダメリアリティに開演前から軽く涙ぐむ。僕の涙腺をゆるめた「旗揚げ公演の場所選びでパルコ劇場に電話して2秒で断られる」というエピソードが悲劇なのか喜劇なのか、たぶん両方なんだろうなとか思いながら。
 そして本編に関して僕は沈黙します。決してつまらなかったわけではなくて、感想にしろ批評にしろ、あれに何の無粋な説明を付け足せというのか、って意味で。初見なのに「十年そのもの」を見せられたような気分。