腹いっぱいの野蛮

ルナシー
監督:ヤン・シュヴァンクマイエル

 普段あまり芸能人とか有名人を見かけてもテンション上がらない*1というか、「まあそりゃ同じ地球上に生きてるんだし、いてもおかしくないでしょ普通に」なんてドライな思考をしてしまう僕ですが、シュヴァンクマイエル御大だけは例外*2だ。その御大が舞台挨拶するとなれば行かないわけにはいくまい、と予約もせずに息まいて出かけ、
 満席と言われて大いに意気消沈。
 しかたなくその次の回を鑑賞。生シュヴァンクマイエルが見られなかったのは残念ではありますが、映画本編の冒頭に現れてプロットの大半をあっさり語りつくしてしまうサービス精神が素敵。
 食べ物を粗末に扱わせたら右に出る者のない御大は今回も容赦なし。本筋とは全く無関係に(それでいて本当はこっちメインで撮りたかったんじゃないかと思わせる)サブリミナルに挟みこまれる、嫉妬するほど不味そうな肉の映像が僕らの満腹中枢を叩きのめしてくれます。

*1:話せるとなったら別です。たぶん当社比5倍はしどろもどろになる自信がある。

*2:思い出した。もうひとり例外がいた。大阪なんばジュンク堂書店前の道を、遅刻しそうなのか何なのか髪ふり乱して全力疾走する海原はるか師匠を見たときは心躍った。