アンデルセンより前に出る

火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)

火打ち箱 (こんなアンデルセン知ってた?)

 僕が生まれた頃には既にデビューしていたにもかかわらず、現時点で単行本が6冊しか出ていないスーパー寡作漫画家・高野文子、の、ペーパークラフト。「趣味の一環でやっていた」なんて言葉が詐欺だとしか思えないような完成度の高さ。漫画家だからって平面でしか勝負できないと思ったら大間違いだと言わんばかりの、一枚の画用紙から切り出したとは信じがたい立体構図の妙はエッシャーに通じるものをも連想させ、折り目や切り目を追いかけてると眩暈がしてくる。ソレがあんまりにもすごくて、肝心の物語が全然頭に入ってこないのが難点なのです。