たぐいまれなる

ピンズ・ログ 「原形質・印象」
作・演出:平林亜季子

@下北沢OFF・OFFシアター

 ナメクジと、ネコとウミネコ(あとカネコ)の心の交流を着ぐるみひとつ使わずに描く離れ業。まるでリーディング公演のような独特の時間が流れる。
 主役の熊埜御堂さんは今回、『不妊症のナメクジ役はこの人以外に考えられない!』というインスピレーションのままに出演依頼されたんだとかで。ここで重要なのは『熊埜御堂さんにナメクジ役を当て書きした』のではなくて『ナメクジ役にふさわしい女優として熊埜御堂さんが選ばれた』という点。文字通りのベスト「アクト」は、一心不乱に葉っぱを食べるその仕草。レアな需要に応えられる供給を持ってる役者は貴重だと改めて思う。