ドラマチック無用

「遊泳禁止区域」
監督:前田弘二

@渋谷アップリンクX(レイトショー)

 タイトルに反して遊泳もしなければ禁止もされません。徹夜明けの登場人物たちが言葉少なに歩き、戻り、立ち止まり、お寺に寄って帰るだけ。おもしろポイントは終始一貫して「いつまで歩いてんの」そしてそれを「いつまで撮ってんの」。あと10分短くても長くても駄作になってたであろう傑作でした。とんでもなくストイックな、言葉本来の意味でのロード・ムービー。その身も蓋もなさが素敵。
 20分の短編映画が2本立てでの上映だったんですが、そのあとのトークショーが伸びに伸びて本編を上回り、1時間にも達する。4人の映画監督/脚本家/役者の会話は打ち上げ風景そのまま切り取ってきたみたいな空間で、だらだらしながらも不意に真面目な発言が飛び出しては再度だらだらの海に潜ってゆく1時間。僕は至近距離すぎて視線の遣り場がわからず、4人の前に置かれた水の減り具合ばかり見てましたが。