うつくしのアシンメトリー

北京蝶々 「コントローラー」
作・演出:大塩哲史

早稲田大学大隈講堂裏劇研アトリエ

 開演直後、明るくなった舞台上を見渡した瞬間にまず、『このセットで何も起きなかったら詐欺ですよ』な美術レイアウト*1にワクワクする。でもまだそれはその時点では命の宿ってない「美術セット」でしかないのでした。そこに現れる人々の絶妙な動線が加わって完成する、叙述トリックあり視覚マジックあり早替えワープありの贅沢な、文字通りの「舞台・美術」でワクワクさらに倍。
 複雑にからまりあった巨大な数式を90分かけて解きほぐしたあとに、「じゃあこれ、解いてみて」と基本練習問題ひとつ残して颯爽と去ってゆく塾講師的ウェルメイド具合。

*1:ニュアンスとして近いのは「綾辻行人作品の館の平面図を見たときの高揚感」。ここに何の仕掛けも施したがらないやつの気が知れない、とでも言いましょうか。