柱を拾う/俺が寝る

井手茂太×康本雅子日本昔ばなしのダンス」
  「かみなりむすめ」振付:井手茂太
  「さんねんねたろう」振付:康本雅子
彩の国さいたま芸術劇場・小ホール

 面白くならないパターンを考えるほうが難しそうな二人の組み合わせに期待がふくらみ、初めて埼玉まで足を運ぶ。
 昔話がモチーフのダンスということで、客席には子供がちらほら。そして子供の感想はシンプルで力強く直球です。上演中でも質問します。とくに僕の座席の後方にいた子は起こる事すべてに疑問を投げかける熱心な観客であって、舞台上が静かになるたび「おわり?もうおわり?」と問いかける。
 正直なところ「かみなりむすめ」はともかく「さんねんねたろう」をダンス化するなんて可能なのか、と思ってました。だって寝てるだけなんだもの、しかも3年も。ところが康本さんの手にかかれば「二人のさんねんねたろうによる布団の取り合い」という構成から畳みかけるように優雅な舞いが始まる。他人のイビキで踊れるダンサーなんて生まれて初めて見たかもしれない。