生活と生存と

 いつからか漫画をほとんど買わなくなった理由は単純で、ただでさえ狭い本棚に10巻も20巻も続くかもしれないような連載ものは並べられないからです。ほかに理由はなかったはずなのに、気がつけば僕の本棚に選び抜かれた数少ない漫画のラインナップは、その8割を福満しげゆきいましろたかしが占めている。そこから逆照射される僕のメンタル面のくらやみったら、おそろしくて自分でも覗けない。

生活1

生活1

 無事に生活したいだけ、というシンプルな動機からスタートした正義だったり正義じゃなかったりする信念が、実を結んだり結ばなかったり恩を仇で返されたりしながら徐々にコントロールを失っていく一部始終が、福満しげゆき史上最高の躍動感によって描かれる。言うなれば、どうしようもなく効率と要領の悪いデスノート。あとがきに書かれた護身の必要性を説く理論がいちいちもっともで、震える。