さしつかえなければ発明と呼ぼう
疲れを吹き飛ばし、観る人に明日への活力を与えるホラー。原作であるところのハイバイ版ヒドミを僕は見ていないけれど、脚色でもなければパロディでもなく、まさにREMIXという言葉がよく似合う。こういうの、なんて言うんだっけ。『アバンギャルド』? 『エクスペリメンタル』? いいえ『自由』というのです。『自由についての演劇』ではなくて、『自由な演劇』でも『演劇から自由』でもなくて、『自由だから演劇』なのです。自分が面白いと思ったものを、かっこいいと、かわいいと、笑えると泣けると思ったものを全部かき集めてきて、しかるべき順番に並べ替えて披露する、それだけで世界はどうにでもなることの確かな証明。
劇場敷地内で(まだ受付すら済ませないうちに!)ひと目見た瞬間から、そこに立っているだけで自由のオーラを容赦なく放っていたその人の、呼ばれた名字が演出家のそれと同じであることに率直に納得。ああこの人が、こんなにも自由なことを、と。そのときの佇まいも込みで演技だという可能性はあるものの、あれが嘘なら騙されても別に構やしない。