わんぱく世界紀行

五反田団 「さようなら僕の小さな名声」
作・演出:前田司郎

@渋谷NHKみんなの広場・ふれあいホール

 計算されたタイミングでは決してないと思うけれど、本当に岸田戯曲賞を受賞した直後の演目がこれの再演であることに運命の悪戯を感じざるをえません。
 僕自身、ウェルメイドよりもラフメイド(造語)つまり、演技や空間が粗とか失敗と常に背中合わせで進む芝居のほうがもともと好みではあるのですが、テレビ放映決定という「小さな名声」に真っ正面から背を向けて走り去る「さようなら」のその速度、そのスリルは愉快痛快。初演時を圧倒的に上回る?下回る?確かな戦略と勝算に基づいた完成度の低さと対NHK用演出新兵器の数々。