30000ルクスのサーカス

快快 「ジンジャーに乗って」
作:シノダ+北川/演出:篠田千明

王子小劇場

 劇場内は劇場内と思えないほどに明るく、折り込みチラシの読みやすさは本年度随一。舞台美術って何だっけという常識(という名の固定観念)を覆す、見たこともない動線の存在。
 塵も積もれば山となる、などと言いますが、だったらその塵のひとつひとつがキラキラ輝いてたらどうなるんだろうか。単品のダイヤモンドは綺麗かもしれないが、ダイヤモンドの山は悪趣味なだけになってしまうのだろうか。答えはこの中に。
 「その場かぎりの面白さ」と「あとから効いてくる面白さ」の駆け引きとか匙加減が見事。富士山を噴火させ、自爆テロを決行し、さらには王子を渋谷や六本木に塗り替えてしまう破天荒な運動エネルギーの第一幕。はしゃぎ疲れて一転、いつの間にかストーリーの中心がジンジャーから焼酎にスライドし、積もった山をほじくり返しては「これは塵ですよ」と叫ぶ第二幕。無駄なものが無駄じゃなくなるなんて夢みたいな話ではなく、無駄なものが無駄のまま後光を纏ってしまうところにココロ鷲掴まれる。