脱力と弛緩の向こう側

ワワフラミンゴ 「長春:ぐあいが悪くてお休み」
作・演出:鳥山サチ

@下北ファインホール

 下北沢の劇場は大半が南口エリアに密集しているんですが、それに反して意表を突いた場所にあるファインホール。たしかこっちの方向は初めてスズナリに行こうとして道に迷ってたどり着いたような記憶が。地図なしで行ったときの見つけにくさは阿佐ヶ谷アートスペースプロットと接戦かも。
 特筆すべきはその内装設備! 6月末で閉館なのが残念でならない。ホールと名のつく場所は数あれど、ここの「他との替えのきかなさ」は貴重だと思うのだけど。
 そんなファインホールの特性上、劇団側が用意してなくても自ずと4バージョンの上演パターン*1が生まれるわけですが、快晴の真昼に観たステージでは『仮病で仕事を休んだ日の何もすることがない気だるさ』が炸裂し、このまま8時間くらいボケーッと観ていたいような気持ちになる。
 蜂蜜で心臓が止まりそう、画鋲とピーナッツ、双子の右に双子の左、昆布かと思ったらゴム…ちりばめられたオハナシの破片のひとつひとつに何の意味もなくても、ただくだらないだけじゃない不思議な引っかかりが余韻として残る。それを反芻しながら、短かった上演時間の物足りなさを埋め合わせる帰り道。

*1:ふつうの劇場ではありえないことに、舞台奥に一般家屋みたいな大窓があり、晴れ/雨/昼/夜でそれぞれ見えるものや雰囲気が大きく変わる(と思う)のです。