見えすいた嘘と見えない現実と

the end of company ジエン社 「大怪獣サヨナラ」
作・演出:作者本介

@高円寺明石スタジオ

 自分が一度も見たことのない映画を引き合いに出して説明するのはどうかと思いますが、たとえば『大人は解ってくれない』という映画の内容を大人が解ってしまえることに対して漠然と違和感を覚えるのは僕だけじゃあるまい。
 だからこそ僕はジエン社を見ていると快哉を叫びたくなる瞬間が何度もあるのです、「よくぞ言ってくれた」と。突拍子もない人物が突拍子もない設定の中でただウロチョロしていることに不快感を全く感じないのはきっと僕が同類だからか、などと考えてみる。世の中の大多数を占める『キャラとか理由とかを作らないでもフツーに(気まずくなく)そこにいられる人』たちが観ても全く「解ってくれない」かもしれないリスクを背負いながらも、最後は見事な背負い投げを決めてくれるその強さと弱さを僕は支持したいと思う。