デッドボールしか投げない

ぬいぐるみハンター 「髪形がぁっ!!」
作・演出:池亀三太

@参宮橋TRANCE MISSION

 ぎりぎりまで迷って当日券で滑り込む。本来の用途が劇場なのかライブハウスなのか、入って出てきた今でもわからない場所の、アトリエ春風舎の3倍くらい目が回るらせん階段を降りて入場。
 中途半端に破綻した脚本なら非難を浴びることもあるのでしょうが、じゃあ破綻どころか「破裂」した脚本だったらどうか。『演劇という性質上ラスト近くにしか持ってこれないはずの演出効果を開演3分足らずで実行』とか『ただドタバタすること自体を目的としたドタバタ喜劇』とか『する必要性の全くない客いじり』とか、あとさき一切考えない突っ走り様が素敵。すべての予測と期待を根こそぎ裏切り薙ぎ倒す展開(そもそも何かが展開していたのか?)の切れ味は止まるところを知らず、とうとう『絶対ここで終わればよかったはずの感動的なシーンのあと暗転が明けてもまだ続く』という手法をギャグとして確信犯的に使う度胸に完敗を喫す。賛辞も罵倒も言わせないくらいに開いた口を開きっぱなしにするような、なんだよあの終わり方。