キャッチ・コールド・アンド・リリース

　風邪をひかない秘訣ですか？ そんなの、事実はどうあれ風邪ひいてないって断言する以外ないでしょう。そうやって自分を騙せば体調も騙されてついてくる。言い訳ならいくらでも思いつく、人より鼻水の多い体質だとか、鶏よりは体温低いとか、遅めの変声期だとか。自慢じゃないけど演劇やってる人の中では群を抜くほどに基礎体力がない僕ですが、いつかたっぷり１ヶ月くらいの休暇を取って入院という名のバカンスを夢見てでも、こちとら11月６日までは倒れられない事情がある。
　それにしても、劇中で高らかに歌われるあの歌の耳に残りやすさといったらどうだ。スタッフだから何回も聞かされてるってのもあるだろうけど、あまりの名曲なもんでついつい道すがら口ずさんでしまいそうになるので非常に困ります。ネタバレになるからとかいう問題じゃなくて、道すがら歌っていいポップソングじゃないことが問題なのです。ましてや電車移動中など、もってのほか。ほがらかな気分とモラルとの闘い。そういう芝居です。本当か？ 本当はこういう芝居です。死ぬだの殺すだの台詞は多いけど怖くはないよ。僕も昔クロムが過激と呼ばれていたころ、勝手にHANATARASHみたいなのを想像して見に行かなかったのを今すごく悔やんでいます。お客様の安全は保証されているが役者（と小道具）の無事は一切保証できない、そんな舞台になる予定。