年の瀬タイムパラドクス

電動夏子安置システム 「そのどちらかは、笑わない。」
脚本・構成:竹田哲士/演出:高松亮

@池袋シアターグリーン・BASE THEATER

 一度もスンナリ辿り着けたことがない劇場として僕とは因縁深い(いや、そもそも池袋自体が迷路なのです、多すぎる人、多すぎる階段、東口に西口に西武東口に東武東上線に…脳内方位磁石を狂わせる表記がいっぱい)シアターグリーン。前もって調べた所要時間にプラス30分見積もって、ようやっと理想的な時間に到着成功。と思いきや、開演時刻を30分早く間違えており結局その30分を持て余す。初歩的なミスだよワトソン君。
 伸び縮みする永遠の40分間を行き交う8つの思惑。すれ違いが勘違いを生み、意志疎通は失敗に終わり、いつまでたっても利害関係は一致せず、立てた仮説は片っ端から挫かれてゆく。西澤保彦直系の超常設定に基づき、さらにそこからヨーロッパ企画めいた展開を見せながらも、最後の最後にルービックキューブを5面だけ揃えて差し出すみたいな完全不可能犯罪にざわめく客席。
 笑いたいなら何も考えず笑えるし、ともに推理したいなら検証する材料は充分ある*1。どっちも取れる、という自由度の高さ。これだけ緻密な構成にもかかわらず、目に見える「唯一絶対の正解」を提示しないストイックさが素敵。

*1:凄まじく豪勢なパンフレットと凄まじく丁寧な前説は頭に叩き込んでおいて損はない。