解体前/解体後

ハイファイ新書

ハイファイ新書

 とくに1980年代以降生まれの方、あなたが小中学生のころを思い出してみてください。
 あのころクラスに必ず一人はいたはずの『休み時間に誰とも喋らず、いつも窓際の席でぼーっと外ばかり見てたあの子』が、聞こえるか聞こえないかの小声で口ずさんでた歌って、きっとこんなのだったんじゃないかと想像できるのです。
 根暗な人間の内面がネガポジ反転起こしたみたいな、底抜けに明るいのに抑揚がほとんどないメロディー。全くの思いつきだけで書いたように見えて、実はとんでもなく緻密に計算されているようでいて、でも本当はもしかしたら本気で何も考えてないおそれをも微かに残す*1危なっかしいバランスの歌詞。この先どうなっていくのか全く予想もつかない。ひょっとしたら日本におけるエレキテル以来の大発明かもしれません。ごめん言い過ぎた。でも、分析とか批評とか、そういう真顔で近寄ってくるあれやこれやを飄々とかわす自由奔放ぶりが素晴らしい。これは本当。

*1:ルネサンス」の歌詞なんか、あともうちょっとで算数チャチャチャあたりに匹敵する学習教材歌になれそうなのに、絶対そういう展開にしてくれない歯痒さが痛快。