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スロウライダー 「クロウズ」
作・演出:山中隆次郎

@新宿THEATER/TOPS

 そっと生爪を剥ぎ取るようなヒリヒリするホラーが得意なスロウライダーですが、解散公演に持ってきたのは本気のホラー、ゾンビ物。と思いきや暗転明け、当のゾンビは長閑で博愛和気藹々。『ゾンビになったら死ぬまでモテない』の名台詞で笑った人ほど、中盤から押し寄せる得体の知れない価値反転の荒波に戸惑うに違いなく。
 キレイはキタナイ/キタナイはキレイを直接ビジュアルで表現した、身につまされるのになぜか笑えるホラー(笑えるおまえの感受性こそがホラーだ、と指差して糾弾されている気がするという恐怖)。解散公演ってことで、劇中でゾンビが語る芸術論は作家の本音(覚悟)なのかもと静聴してしまう。