反対の酸性なのだ

壁ノ花団 「アルカリ」
作・演出:水沼健

こまばアゴラ劇場

 小さすぎるシャツを着る、トランクドミノ、いつのまにか移動する人影、なんでも揃うのにバナナしかない、デュライモンのパーケッツ、卓球のコツ、アゴラの壁にチョークで授業、トマトでポストを赤く塗る、実はもう一人いる、鞄階段、パン粉で埋葬、アゴラの壁に女をガムテープで貼る。
 おそろしくキャッチーな前衛劇とみるか、おそろしく難解なコントとみるか。どうとでも捉えられるストーリーをどう捉えるかで評価も教訓も変幻自在のような気がしますが、とにかく視覚情報がいちいち美しくて胸を打つ。アゴラの壁面に引かれたトマトケチャップの直線が、時間経過とともに垂れ落ちてきて薄暗い照明の中で血糊のようにぬらぬら光るさまは圧巻でした。