何丁目だろうが夕日は夕日

ハイバイ 「リサイクルショップ『KOBITO』」
作・演出:岩井秀人

こまばアゴラ劇場

 リサイクルショップというより戦後の闇市みたいな、乱雑と乱闘と猥雑がミルフィーユ仕立てになった空間にぶちまけられてく他人の生活。夢も希望もトラウマも全部等しく取っ散らかして投げ売る姿勢が超素敵。
 BGMの全く流れていない店に一人で入ったときの、店内の空気の気まずさ。初対面の、カリスマでも何でもなさそうな(カリスマだったら尚更だ)店員と二人っきりで閉じ込められたみたいな状況に置かれたときの、あの居たたまれなさ。ましてや、その店員が急に演劇を始めたら。演劇の中で演劇のリアルを否定したら、あとにはもうリアルしか残らない。
 序盤の劇中劇の破滅的な段取りの悪さに笑えば笑うほど、ほとんどやってることが同じはずの後半で意味もわからず泣けてくる岩井マジック。そういえばディスコミュニケーションって単語の中には、実はきちんとコミュニケーションって単語が含まれているんだよな、とかなんとか、ふと思う。