SILENT YARITORI

佐藤の、 「肩の上で踊るロマンシングガール」
脚本:成島秀和(こゆび侍)/演出:広田淳一(ひょっとこ乱舞)

@新宿眼科画廊

 ほんの数行だけ上から目線を許してもらえるなら、5年前、東京で初めて(つまり成島氏ほか会津大の人々を除いて)佐藤みゆきの才能に気付いたのは、多分、僕だ。
 といってもその頃は凛々しい声した人だなー程度の認識で、正直これほどのポテンシャルとまでは見破れなかったのだけど。言葉を感情に変換して放つ、叫んでよし囁いてよしのオールラウンド言霊女優。僕はこっそり(本人にも内緒で)そう呼んでいる。
 朝起きたら女になっていた!という、使い古されたっちゃあ古されたテーマから出発はするのだけど、やれ魔法だ陰謀だってな方向へ殊更壮大に広がったりはしません。しませんが、しかし性別が変われば生活も変わる、それにまとわりつく「なにかと不便な日常の冒険」と「希望でも絶望でもないお別れの形」を、50分弱という小皿料理サイズでワンドリンク片手にサッパリいただく、この贅沢。眼科画廊の壁から壁まで3mあるかないかの至近距離だからこそできる贅沢。