思い出<時間

ナルペクト 「さよなら また逢う日まで
脚本:ブラジリィー・アン・山田(ブラジル)/演出:成島秀和(こゆび侍)

@中野劇場MOMO

 何かにつけて仄めかされる登場人物の過去を僕らは知るはずもないのに、気がつけば10人目のメンバーみたく誰かに肩入れしたり、誰かを毛嫌いしたり忙しい。みんな仲間同志だけどみんな他人同士、という単純な事実にスローモーションで殴られるような感触。ひとさまの脚本ですが芯は紛れもなく成島演出で、なんでか知らんが嬉しくなってしまった。
 いわゆる『お笑いの人』が持ってる軽い雰囲気と重いストーリーが、喧嘩するでもなく、どっちかが圧勝するでもなく、見事に接戦を繰り広げながら綱渡りを決めていて、あんな地獄みたいなエンディングなのに微かな光が差して見えたのでした。