百花繚乱お礼参り

花ざかりのオレたちです。 「三五大切」
原案:鶴屋南北『盟三五大切』/脚本・演出:山本卓卓(範宙遊泳)

@早稲田どらま館

 桜美林・早稲田・青山学院・明治・日芸の5大学から集まった87〜88年生まれの『もうすぐ学生ではなくなる学生たち』が『最後にして最強の学生演劇』で諸先輩方に『若き脅威の参上』と『愛ある下剋上』を突きつけるため計画された『演劇天下一武闘会』のようなもの。
 と男の子をワクワクさせるフレーズばかりが並んだ、まさしく今この時期にしか公演がありえない(企画意図の性質上絶対に再演がありえない)切迫感と、A3見開きチラシにずらり並んだ総勢11名の不敵な表情に圧倒され、無理なスケジュールに無理やり風穴あけて観に行く。
 屋根裏から覗く逆光の顔、斬新な酒のマイム、絡まりあう因果のゴムひも。温故知新といいつつも古きを踏み台に新しき大ジャンプを華麗に決める、その心意気や恐ろし。
 配役を毎回シャッフルするという画期的かつ無謀なシステムを採用しているおかげで、終演後どうやってダメ出しをするのか全く予測がつかない。いや、もしかしたらダメ出しなんて必要ないのかもしれない。だって間違いなく彼らは舞台上で一回きりを生きて、舞台上で一回きりを死んでったんだから。生死にダメもくそもあるか!と喝を入れられたような気持ちになる。
 原作者の鶴屋南北は四代目だそうですが、この先二代目三代目の「花ざかりのオレたち」は現れるのでしょうか。現れてほしいなあ、そして今度は『諸先輩』の一員となってしまった初代たちの地位をおびやかすのだ。さっき再演はないと言った矢先ではあるけれど、せめて4年に1度くらいこういう新興勢力が演劇の安定を撹乱してくれるなら「学生演劇」が差別用語みたいに使われることもなくなるだろうに。