ジタバタ讃歌


 ゲネプロ以来、客席に人が入った状態でようやく今回の「モグラの性態」を観る。はっちゃけて跳ねて弾け飛んで、ふくらましてる途中で手を放された風船のような舞台。
 やっぱり僕は客席にいるのが好きなんだなあと今更ながら思うのです。自分たちが面白いと思っていたもの、面白いと信じて作ったものに対する生身の反応がその場で返ってくること自体が持ってる面白さ。たぶん僕の観客としてのオシゴトは稽古を見た時点で済んでいて、その時に感じた楽しさだったり切なさだったり驚きだったり、そういったあれやこれやを他人の反応と共有しながらもう一度アタマから追体験する喜び、とでもいうか、ああ、いいよ別にそんな堅苦しい思考回路は。その堅苦しい思考の配線を次から次へと力まかせにブチブチ引き裂いていく、そんな馬鹿騒ぎが成立してさえいれば、それさえあればぬいぐるみハンターはぬいぐるみハンターでいられる。確信しました。