悲しき運命

 高円寺から都立家政駅まで歩いて帰る。健康のためとか電車賃をけちろうとかいう理由では全然なく、むしろ理由など何もなく、ただ歩く。
 途中、民家の横を通りかかると中から「ピザピザピザピザ…」という声がした。この子は自分が今から恐るべき巧妙な罠に巻き込まれようとしていることに気付いているんだろうか、と心配になる。