地の利

 昼過ぎから煙幕のような雨が降る。前が見えないほどの。
 出かける前に小降りになったから良かったようなものの、今日の雨といい一月の雪といい、行こうとするたび何かの天変地異に見舞われる疾風怒濤の小劇場、それが神楽坂ディプラッツ。なのです。

ハイブリッド渾沌「河を渡る」
作・演出:金子薫

@神楽坂die pratze

 大胆不敵な前説「上演時間は約九十九分です」。
 どのシーンを切っても絵になりそうな、その構図の妙に釘づけ。人の配置やセットの斜め具合、壁に反射する影の大きさ、袖から覗く「見えるか見えないか」ぎりぎりの光源、などを満喫する。男にゃ絶対書けそうもない脚本だな、とも。
 そして何より、ちょいちょい面白い。これ重要ですよ。何かこう、真正面から笑わせにくるのではなく、気づいた人だけ笑える細かいあれこれ。ただサラダせんべい食べてるだけのことが、なんであんなに面白いのやら。