人間の危機

play unit-fullfull「サヨナラとさようならをする」潮騒
作・演出:ヒロセエリ

@下北沢OFF・OFFシアター

 ゆるやかな生活は些細なきっかけで、ゆるやかに壊れはじめるが、幽霊は犬。波のように寄せては返す人間模様、でも犬は幽霊。ありゃ反則だろ、と思う。笑っていいのか、いけないのか、自己責任で判断しなきゃならない試練。ただ、作中いくつかの小さなエピソードや言動に関して、ここ最近に自分の身辺で起きた極めてプライベイトな出来事とイヤになるくらいシンクロしてしまい、かさぶたをえぐられたような痛みを心に感じる。誰の何に感情移入したのかは、言いませんけどね…。
 ああ、そうそう、蛇足ながら一点だけ。小道具に身をやつす立場としては、包丁振りまわす演技はいつだって、どんなサスペンスよりハラハラしてしまいます。経験上、切っ先のキラめき具合で本物か偽物か瞬時に見分けがつくだけに、思わず「志村、はもの!はもの!」みたいなことも言いたくなる。言わないけども。そもそも志村ではないけども。