暴れるひとたち

クロムモリブデン猿の惑星は地球」
作・演出:青木秀樹

@中野ザ・ポケット

 関西出身の劇団ですが、そして僕も関西出身なのですが、なぜか東京公演しか見たことがない。それというのも関西観劇当時の僕は臆病で、『クロムモリブデンは過激らしい』という世間の噂を拡大解釈しすぎて、なんか『最前列の客を金属バットで殴りつける』みたいな芝居を勝手に想像し、怖くなって避けつづけていたのです。上京後、殴られたって構うものかと決死の覚悟で見に行ったら意外と地に足ついたエンターテインメントで安心して現在に至るというわけ。まあそりゃそうだよって話ですが、アートは法律よりも強いのだと本気で考えていたあの頃の若さゆえの云々。
 それでもクロム観劇自体2年ぶりなんですが、あれ?こんなに面白かったっけ?だなんて少々失礼な感想が浮かぶ。シーン展開は唐突すぎるし会話は一つ残らずデタラメなのに、なぜかストーリーの軸だけはブレることなく理解できるという綱渡り的神業。「どうせこんなの美術ですよ」「撃つと死ぬ鉄」など名言がいくつも飛び出す。