まばたき禁止

庭劇団ペニノアンダーグラウンド
脚本・演出:タニノクロウ

@下北沢ザ・スズナリ

 演劇でもなければジャズコンサートでもない、皿のようにした目でただ見つづけたジャンル無用の一部始終。
 医者と看護士とバックバンドなんていう前代未聞のアンサンブルに僕の入り込めるスキマはないので、消去法的に『患者』に感情移入するわけなのですが…次第に患者=自分、のような感覚に陥る。天井から水漏れする総タイル張りの、隅っこに枯れ葉の積もった野ざらしのユニットバスみたいな汚い手術室で、全身麻酔で眠ってる自分の腹が切り裂かれるのを、ドリルで骨を削られるのを、なぜかドアの取っ手ばかりが3つも摘出されるのを、内臓が釣り竿で摘出されるのを、体内から小人が飛び出してくるのを、そして最後まで何の手術か解らないのを、幽体離脱して客席から他人事みたいに(それこそ演劇でも見るみたいに)眺めているような錯覚。