おかしくなるまで箸を転がせ

開幕ペナントレース 「恋してると言ってくれ」
構成・演出:村井雄

@渋谷Gallery LE DECO 4

 「漫才とは男の子どうしの仲の良さを見せつけるもの」という中田カウスの名言がありますが、その定義に従うなら開幕ペナントレースは立派な漫才なんじゃなかろうか。たとえそれが6人のむくつけきアフロどもによって演じられたものであったとしても。
 まるで修学旅行の深夜のような、悪ふざけとナチュラルハイとが混ぜこぜになったようなあの理不尽な笑いを真っ昼間に再現させてしまう強引さ。いまにも舞台袖から生徒指導の教師が飛び出してきて、おまえら消灯時間はとっくに過ぎてるぞと怒られそうな。ちゃんとした計算に基づく構成・演出だとわかっていてもなお、ときどき「このひとたちは本当にばかなんじゃないか」との思いがよぎる。そんな舞台。
 質素なカーテンコールが終わり、もう何事も起こらないだろうと気をゆるめた途端、『劇中に使った小道具のせいで面会に現れた村井氏がほのかに鰹節くさい』という反則みたいな追撃に笑ってしまう。