世界の終わりのためのエチュード

properties2007-03-07


 阿佐ヶ谷アルスノーヴァが5月いっぱいで閉館になるらしい。
 先日、10年前にアルスノーヴァで公演をやってたという美術さんと話したとき、あーまだあるんだあそこ、そうなんですよまだあるんですよ、みたいなことで笑いあったりした矢先の出来事、初めて知ったとき軽い目眩がした。だって、「まだある」って言葉は「ずっとある」こと前提の冗談のようなもので、さすがに永遠だとまでは言わないけど、でもまぁ、終わらないんじゃねえの?みたいな感覚だったから。地震や火災でもないかぎり、いつまでもあの場所にしぶとく存在しつづける劇場だと思ってたのに。
 たしかに阿佐ヶ谷は他に劇場も多いし、わざわざアルスノーヴァでやらなくても、もっと綺麗な/設備の整った/土足禁止なのに床がササクレだらけだったりしない/そんな劇場はいくらでもある、それは事実。かくいう僕も足繁く通っていたわけじゃないので偉そうなこと言えないんだけど、でも、OMSや下北再開発の話を持ち出すまでもなく『新しい芸術』という意味の名を持つこの劇場が消えてしまうのはあまりに皮肉で、悔しくて、さみしい。ならばせめて、否応なく来てしまう一つの最後を見届ける仕事、責任もって引き受けることにしました。
 そして不意に携帯が受信したメッセージで、感涙。たとえ嘘でも嬉しいってのに、この文面ときたら本当にしか見えないんだもの。自慢じゃないけど役者からこんなメールをもらえる小道具が他に何人いるだろうか。ここまで言われて半端な仕事ができようか。反語で問うてみる。