決意と虚勢は紙一重

 ずっと頭を悩ませていた最大の難関をどうにか切り抜ける。達成感による清々しいまでの眠気に襲われながらも、できあがった小道具は目の覚めるような色で寝付けそうもなく。
 明日、いよいよ小屋入りです。なんとか壊れないで楽日まで持ちこたえてほしい、とはいうものの、役者に『壊すなよ!』なんて言っていいのは演出家だけであって、少なくともそれは小道具の吐くべきセリフじゃない。なぜなら壊れたときにすぐ修復できるために僕はそこにいるわけで、壊れるのを気にして演技がおろそかになるくらいなら、いっそ迫真の演技に乗じて壊してもらったほうがマシ。
 と、これを本気と取るか冗談と取るかは各役者さんの判断にお任せします。どちらが正解だったかは、壊れたときの僕のリアクションを見ればわかるから。