命しか賭けていないかのように

 4日ぶりに会う人たちで埋めつくされた稽古場へ。そこへ集まったキャストスタッフすべて含めた7人中5人が、ついこのあいだまで蛍細工にもいたという事実に、一瞬どっちの稽古だかわからなくなる。
 そんな状況だから、稽古初日にして既に本番まで10日を切っている。いくら一日限りの特別公演だからとはいえ大丈夫なのか、などと心配した僕が甘かった悪かった。台本渡されてから僅か一日で台詞のほとんどを頭に入れ終わっている4人がそこに。これぞ、こゆび侍特有の「ゼロ」と名付けられた方法論と、日記を用いた異色な稽古の為せる短期集中鍛練の賜物なのか。
 そして、小道具の話。依頼を受けた当初「小道具は特にないので、よろしくお願いします」という不可解な言葉を投げつけられ困惑していたんですが、打ち合わせるうち徐々に小道具が浮かび上がってきて、確定に至る。なにより今回は主旨に賛同しての参加なだけに何があろうと絶対降りる気はなかったのだけど、さすがに小道具ひとつも作らない小道具スタッフが存在していていいのかという思いもあり、最悪『オブザーバー』とでも名乗ろうかなんて少し考えていただけに、これで安心してクレジットされることができるというものです。