動線は加速する

猫と扇子の和え物 「ヒューマニティーノイズ」
作・演出:田端真志

@しもきた空間リバティ

 いままでの作風が光に向かっていたとすれば、それを質・量ともに同じぶんだけ闇の側へ引っくり返したかのような作品。ひとの善悪なんて白黒つけられるようなもんじゃないですが、その見せる配分をちょっと変えてやるだけで、こんなにも違ってみえるものかとも思う。
 とにかく人があちこちから現れ、また消え、ときには通り過ぎ、Uターン…を繰り返す。序盤はすごく段取りめいていたその動きが、回数と速度の上がるにつれて、4つのドアが、屋敷自体が、あり得ないほど巨大で歪んでねじれているようにも見える。当然といえば当然、それでも「具象舞台だからといってシーンは1つとは限らない」のです。