個性派×10+1(医者)

はなとゆめ 「はなとゆめ」
作・演出:津久井亜以

@阿佐ヶ谷アートスペースプロット

 突然ですが、役者が有名か無名か、というのは単なる現状でしかないわけです。だから、役者の知名度は役者の優劣とは一切関係がない。全員が用意のドンで同時に産まれて同時に役者になったってんならともかく、そもそもスタート地点に不可抗力的なバラツキのあるものを一括して有名/無名だけで価値判断してしまうやり方(たまにいるのですそういうひとが実際)は、まったくもって、全然、からっきし間違っている。順序としては「すごいから有名」「すごいけど無名」なのであって、「有名だからすごい」とか「無名だからすごくない」わけでは、絶対に、ない。
 と、まあそんなことを、たとえば僕がどれだけ力説してみたところで何だか見当外れな説教臭いお話になってしまう(しかも文脈の隙間から「周回遅れで小道具になった自分」への弁護が透けて見える)のですが、はなとゆめは舞台上でそれをさりげなく、しかも一目瞭然な形で証明してしまったわけで、これは一種の快挙だと思います。豪華客演5人+残りの5人、みたいな勿体ない結果には陥らず、「気になる役者を集めてくる」という主宰者の思惑どおり均等に割り振られた見せ場と味付け。