スズナリハウスの生き物たち

トリのマーク(通称) 「5時には家に帰ろう」
構成・演出・照明・音響・美術:山中正哉

@下北沢ザ・スズナリ

 ひさびさのトリのマーク、そして、ひさびさの観劇。実は7月1日のはなとゆめ以降なにも観ておらず、いわば喉カラカラな状態でありつき貪り観る芝居。空間から照明、セリフ、ひとの佇まいに至るまで相変わらずの風通しのよさを満喫し、夏バテを少しだけ持ち直したような気分になる。
 僕が一貫してトリのマークに持ち続けているイメージは『ファンシーな幽霊たち』。べつに現世に未練や恨みがあるわけじゃなく、ただなんとなく楽しくてついついあの世に帰りそびれちゃった幽霊たちがポツポツと語り出す物語、みたいな感覚。絶対にシリアスな核心には触れないんだけどメッセージらしきもの(今回だと例の下北問題)はそっと残して颯爽と去っていくクールなトーンは、ちょっとやそっとの作風の変化じゃ揺らがないんだなということを今回とくに強く思う。僕の座席の真正面に巨大なベランダが現れたときは鳥肌が立った。