ぼやかして語る

properties2007-08-18


 成島氏の発注する物品はいつだって僕を心躍らせるのですが、こんな発注で躍る僕の心をおかしいと人は云う。いいじゃないか、仕方ないじゃないか躍っちゃうものは。僕はただ、こんなことでもなくちゃ絶対作ることなんてなかったはずのものを作りたいだけなのだから。
 誰もが知っている身近な存在である『これ』が『この状態になってる』ところを、僕は人生経験の少なさゆえに見たことがありません。でも、見たことないのは僕もキャストもお客さんも一緒のはずで、なぜなら『この状態になってるこれ』の本物を見るチャンスなんて、いくら世の中が物騒とはいえ一生に一度あるかないかだし、それに見たことある人は多分、演劇なんか見に来てる場合じゃないはずだからです。
 はたして『この状態になってるこれ』は『元の状態のこれ』に比べて色合いはどう変わるのか?音は?光沢は?感触は? 実物を知らない以上、すべてはノーヒント。誰しもが記号的にイメージするその姿(の最大公約数)にどこまで近付けるのか、あとはもうお客さんとの想像力の勝負。
 とりあえず、これから電車で稽古場まで運びます。細心の注意を払って。そんな、網棚なんぞに乗せてうっかりゴロンと落下しようものなら!…無理です、さすがにこの前フリには乗れません。