ジェネレーションどころじゃないギャップ

 小道具第一次〆切到来。
 今回、小道具に関して必要以上の綿密な時代考証はむしろ逆効果になるのでは、とかなんとか不肖ツジモト考えました。なぜならハイブリッド渾沌がやろうとしている芝居の核は当然「わたしたち古墳時代について頑張って調べました、という成果発表」なんかじゃないのだし、なにより重大なのは古墳時代のリアルな『リアリティ』が、その時代をリアルタイムで生きた経験のないわれわれ(観客含む)の目にはリアルに映らないという点。リアルリアルうるさくて恐縮ですが。
 極端な話、たとえば同じように原始時代をモチーフとした芝居があったとして、本物の石器を使っても舞台上じゃ黒くてなんだかわからないし、だいいち危ないからNG。衣裳だって、本物の野生動物から剥ぎ取ってきても舞台上が獣くさくてかなわんし、なにより愛護団体からNG。それよりは、たとえ史実に反しようとも『真ん中に骨が一本通った巨大な円柱型のマンモス肉』をかじらせたほうが余程「らしく」見える、という不思議なネジレがそこには発生しているのです。それを考慮した場合、リアルとフィクションの配分は何対何が一番有効なのか? というようなことばかり考えて作った小道具たちを納品。数量的に山場は越えたけど、でもまだ労力では折り返し地点にすら来てない雰囲気なのが気がかりです。ここまで他の小道具に忙しいフリをして見ないように見ないように後回しにしていた大物と、ついに向き合わざるをえない本番二週間前。